EDIT
赤坂駅と乃木坂駅のあいだ。ありふれた四角い建物群が建ち並ぶ一画に、1つだけ異質な建物が見えてくる。丸みある細長い岩のような風変わりな面立ちは、道行く人々を2度見させるほど、ただならぬオーラを放っていた。今回紹介するのは、岩石を身にまとった1階の特殊区画。建物正面の入り口を入ると、中にはミステリアスな空間が現れた。
以前は鉄板焼き店として使われていたというこの区画。その時の装飾は全て撤去され、スケルトンとなっているが、それが返って一筋縄では説明出来ない不思議な魅力へと繋がっていた。B1-1Fから構成される2層の空間。とは言え、1Fはほぼ吹き抜けとなっているので、階段を降りた地下がメインのフロアーとなるが、そこから望む大きく抜けた室内はまるで洞窟のよう。形や素材もまばらなゴツゴツとした岩肌を、唯一の開口部から射し込む光がぼんやりと照らす。野獣でも棲みついていそうな少し怪しげな空間だが、その危険な香りが、返って冒険心をくすぐる魅力へと繋がっているように感じた。もちろん内装を整えれば綺麗な空間にはなるだろうが、あえて作り過ぎず、このハードなテイストの世界観を活かした働き方を考えられないか、想像を膨らましてみてはいかがか。
飲食も可能というこの物件の旨味を利用して、単独のオフィスだけではなく可能性を広げてみてはどうだろう。例えば、昼間は自然光と明るいライトの下でガツガツ働くオフィスとし、次第に辺りが暗くなってきた頃、ネオン看板や照明の照度をムーディーに切り替え、BGMを流し、ロックな世界観あるBARをオープンさせる。フロアーが不規則な形をしているため、オフィス単体ではどうしてもデッドスペースが多くなってしまいそうだが、逆に店舗なら良い感じのスペースとなり有効的に使えそうだ。仕事で疲れ、乾いたノドを潤しながら、昼と夜で半々に違った働き方を楽しむのも面白いかもしれない。 正直この空間はわからない事だらけ。しかし、それが魅力であり、想像力をかき立ててくれる部分でもある。
EDITOR’S EYE
トイレは残置として残されているが、空調や照明が無いため、初期のインパクトはなかなか大きい事が予想される。しかし、この特殊な空間は使い方、彩り方できっと面白い空間へ変貌するので、長期的に考え投資する甲斐はあるだろう。