EDIT
ビジネスや繁華の街として国際的にも有名な六本木・西麻布エリア。一歩奥に入れば大使館なども多く軒を連ね、街を歩けば様々な国の人々や文化を感じさせてくれる面白い町並みが広がる。そんな異国の雰囲気漂う一画に、少し閉鎖的な面立ちだが、内部には小宇宙を秘めたような面白い建物を見つけたので紹介する。
建物は上下6層のレイヤーが、少々複雑なアプローチで絡み合う内部の空間によってこうせいされており、言葉だけではなかなか説明がしづらいくらい面白い。
まずは地下へ潜ると、吹き抜けで繋がる2層の部屋が現れた。元は1つの空間だったものを、後の増床によって2つのレイヤーに分けたようだ。現況ももちろん悪くはないが、これが一つの大きな空間だったと想像すると、なかなかのインパクトある空間だっただろう。1階にはエントランスと駐車スペースのみなので、上へ進む。2・3階はそれぞれ50㎡ほどの手頃な空間。大きな開口から外のライトコートを望む事が出来、刻一刻と変化する自然の移ろいをシュールに感じながら働けそうな部屋となっている。さて、問題はその上の4階部分。ジェットコースターが走り抜けそうな最後のコーナー階段を上ると、全く予想もしていなかった空間が現れた。どこか教会のようでもあり、宇宙を旅するスペースシップにも見えてくる卵形の空間。ただでさえ不思議な部屋だが、これが住居仕様として作られているのもまた驚きだ。正直この部屋をどう使えばいいか迷うところではあるが、ベタに社長室としてトップを独占いった感じだろうか。フロアーが複数に分かれているため、プランニングなどは少し悩むところではあるが、逆に使い方がハマれば面白い物件と言えるかもしれない。
建物の名前は彗星から付けられたという。そう聞くと、コンクリートの建物はどこか近未来的な宇宙基地のようで、4階の部屋は着陸した宇宙船のようにも見えてくる。どこかロマンさえ感じさせてくれる建物。もちろんワークスペースには直接関係のない話かもしれないが、ただ予算やデザインだけで建てた建物より、強い意思を持って作られた建物の方が働く環境としても面白みは感じる。良く言えば、”ロマンを与える”という意味ではビジネスにも通じるものはあるのではないか。
EDITOR’S EYE
大きく吹き抜けたライトコートをグリーン化してみるのも良さそうだ。例えば壁面や階段を使って立体的に緑を配置すると、空を眺めれば、グリーンと空だけの景色が広がる。気分が落ちた時やブレストの際、ただただ空を眺めているだけで様々なアイディアが下りてきそうなスペースだ。