EDIT
千駄ヶ谷駅を背に、北参道方面へ数分ほど進んだ立地にひっそりと佇むモダンな建物。出勤を楽しむ間もなく着いてしまうような駅近に建つが、少々奥まった場所にある為、周囲にはとても静かな環境が広がる。しかし、そんな環境も今後ガラッと変わることになるだろう。2020年のオリンピックに向け、今後より盛り上がりが期待される千駄ヶ谷エリア。世界から注目される立地なだけに、今のうちに先乗りしてオリンピックまでにビジネス環境を整えてみるのも良いかもしれない。
建物の脇よりエントランスへと続く階段を下りると、寄り添う2つの空間が現れる。地下の区画だが、前面の広々としたコートヤード側に大きな開口を確保しているので、一般的な地下への偏見は捨てもいいだろう。むしろ自然の変化がダイレクトに感じられるので、環境としても整っているように感じる。そんなコートヤードを抜け、ガラス扉を開けると、整った表情のスケルトン空間が広がっていた。内装を撤去したままの状態のはずだが、それぞれの素材の表情がうまい具合に調和していて、あたかも入念に計画されたような空間となっている。室内は天井も高く、間仕切る壁も無いのでなかなかの開放感。特に大きい方の区画の、200㎡ほどのワンルーム空間は圧巻だ。そのサイズ感故、普段では重く感じられる柱も、この空間では良いキャラクターとして良い存在感を放っている。なかなか手を加えてしまうのも惜しい空間だ。どちらの区画もトイレや空調などは残されているので、照明に手を加えつつ、最低限の防塵塗装などを行なった上で、後はテーブルなどを並べてざっくりとこの空間を使っても面白いだろう。
建物の動線上、どの区画へもコートヤードを抜けてのアクセスとなるので、この2つの空間は建物の顔となるだろう。なるべく現状を活かして、照明演出などでシンプルに仕上げるのも良し。ガッツリ内装を変えてみるのも良し。2区画セットで創り込んでもいいし、1区画なら相方に負けないような存在感を放つ空間に仕上げていくと良いだろう。建物の印象を左右する責任重大な区画ではあるが、そのぶん挑戦のしがいのある空間だ。4年後、多くの外国人がこの地を訪れる際、日本のカッコいいオフィスを世界に見せつけてほしい。
EDITOR’S EYE
物販店など店舗としての利用も可能だが、立地の集客力を考えると強いとは言えないので、オフィスを兼ねたショールームなどが現実的なところか。オフィス仕様の場合、行き交う人々の視線が気になる場合は、日当りを活かして緑などで柔らかく遮るという手もあるだろう。働く人も、行き交う人にも気持ちの良い環境を整えてほしい。