EDIT
>>LOCATION
2020年の東京オリンピックを控え、今後慌ただしく町並みの変化が予想される原宿周辺。そんな中、ここにも一つの時代を終えようとしている建物がある。原宿警察署にほど近い明治通り沿いに建つこの建物は、以前の東京オリンピックの際に建てられ、現代のデザイナーズマンションの礎を築いたという伝説的な存在。近年では室内の原状回復義務を軽減し、数々のクリエーターによって空間が彩られ、そして次の世代に引き継がれてきた。この部屋もまた、前テナントが力を入れた空間が残され、次に引き継がれるのを今か今かと待っている。
>>SPACE
室内には、50年あまりの風格を感じさせつつも、新設された素材でうまくまとめ上げた空間が広がっていた。角部屋の為、多くのガラス面を確保されたワンルーム。日中十分な採光を確保し、ガラス越しに透き通る外の風景がより部屋を広く感じさせている。床まで伸びる窓は、古い建物だからこそなせる技。現代の建物では得られないのがポイントだ。床は新設された柔らかな色味の無垢材仕上げ。片や天井や壁は、建設当時の生々しい無骨な表情をあえて表している。こちらもまた、一昔前の小幅板の型枠で打たれたコンクリート表情がとても魅力的で美しい。以前のテナントはSOHOに近い使い方をしていたようで、その際設置したという大きなキッチンやキレイな水回りも残されている。特に、少々力を入れすぎたオブジェのようなバスルームは必見と言えるだろう。
>>WORKSTYLE
かつては世界をにぎわせたこの建物も、時代は流れ、建物の老朽化が進み、今後数年後に建て替えが検討されているという。よって今回が、この建物に入る最期のチャンスとなるかもしれない。この建物が消えた時、きっと本当の伝説としていつまでも語り継がれる事になるだろう。もちろん残された時間はそれほど多くないので、その先の移転計画などを同時に考えなくてはいけないなど不便な面はある。しかし、また面白い物件に出会えるチャンスと考えればそれも悪くない。むしろ今後の長い会社の歴史の中で、この空間に居た事をいつまでも誇りとなるはずだ。少々気持ちに熱が入ってしまったが、それほど魅力的な物件である。とにかくこのラストチャンス、まずは飛び込んでみてはどうか。
EDITOR’S EYE
建て替えの計画は進んでいるが、まだ正確な年数は決まっていない。もちろん建て替えまで再契約は可能となり、その際の更新料は不要。さらに条件にある償却も、最期まで見届ければ不要となるようだ。短期間とは言え、この建物や空間のポテンシャルを考えればすぐに飛び込みたい魅力は十分あるだろう。