EDIT
ハイブランドが建ち並ぶ青山界隈。表参道の交差点を背にみゆき通りを根津美術館方向に進むと、道沿いにはプラダ青山などの有名建築物が建ち並び、ファッションはもちろん建築やアート好きにも楽しみを与えてくれる。交差点を過ぎ、根津美術館に沿ってさらに西麻布へ続く道を進んだ、一本裏手にある建物。半世紀近く年期の入った建物は、この度全面的にリノベーションされ、新しい顔つきのファザードに生まれ変わった。擦りガラスによって外からは隠されているが、実は面白い空間になりうるポテンシャルが潜んでいた。
エントランスを抜け、白い螺旋階段を上った2階部分が今回の部屋。扉を開けると、まずは小振りの部屋が現れる。どうやらこの部屋でワンクッション置いて、メインの部屋に入るという動線らしい。レセプションやラフな打ち合わせなどにも使えそうな部屋だ。壁は社のロゴやイメージカラーで彩ってやると良いだろう。奥には広々としたワンルーム空間が広がっていた。以前の名残りか、現代では珍しい磨りガラスが3方面の開口にはめられている。外の環境を室内に取り込む事は無いが、光のスクリーンのように輝く姿は美しい。天井はスケルトン仕上げ。白く塗装されたコンクリートや鉄骨。空調や水回りなどがサイドにまとめられている為、配管などが少なくスッキリとした印象だ。照明レールも予め配置されているので、照明でお好みの色に変えると良いだろう。トイレもこのサイズには珍しい男女別というのも嬉しいところだ。
素地は良好に思える。より面白い空間に化粧替えするなら、まずは床を攻めるべきだろう。現在のタイルカーペットを、暖かみのあるウッドパネルに変えてみてはどうか。部屋の印象はガラッと変わり、より柔らかい空間に変わるだろう。照明は現存のスポットライトでピンポイントを照らし、部屋の温かみはペンダントライトなどで演出する。さらに鉄骨の形状を利用して、観葉植物やエアープラントなどを吊るせば緑溢れる空間にも成り得る。今はまだ派手さを感じないが、磨けばきっと良い空間になるだろう。
EDITOR’S EYE
他のテナントは自ら透明なガラスに変えたと聞く。全面変えるのは大変だが、例えば部屋中央にある窓を透明なものに変えても良いかもしれない。実は立地の形状から、サイドの道路から大人の胸ぐらいの高さにこの開口はある。ここだけ透明なものに変え、通りかかった人に彩りの室内を見せても良いだろう。駅から少し離れた立地に建つが、道中キラキラした町並みや、自然を感じながら歩く青山らしい道程は、きっとその距離を補うステータス感を感じさせてくれるだろう。